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困った。
非常に困った。
色々な意味で、俺は自分を呪い始めた。

自分の興味に任せて話を聞きさえしなければ、
尾行なんてしていないと言って、取り合わなければ、
新宿駅前の手相や、京都の「祈らせてください」と同様に扱えば、
問題は無かったんだ。

そう言われてみれば、上司にもよく言われた。
もう少し考えて行動しろと。
その度に頭を下げながら、うるせぇと舌を出していたのだが、
初めてそれを後悔した。
ゴメンよ、ハゲ中専務。

いや、竹中専務。


香坂はというと、
懐からハンカチを取り出し、しきりに汗を拭いていた。
残暑厳しいだなんて言ったって、汗をかく時間帯ではないし、
空調が効いている事を考えれば、暑さから来る汗じゃないだろう。

香坂は何かを思い悩んでいるようだった。
これ以上面倒には巻き込まれたくないと考えていると、
先程の驚きで忘れていた、怒りを思い出した。

そもそも、なんでこんな話を最後まで聞かなきゃいけないんだ。
ハッキリ面倒だと、告白して立ち去ろうかと考えていると、
香坂は口を開いた。

「お願いです。妻には話さないでもらえませんか?」

香坂は明らかに必死だった。
約束をするまで、帰す訳にはいかないというトーンだった。

「探偵さん、私はもう半年の命。秘密ゲームを始めてみて思い知ったんです。
妻に秘密を作らず生きてきた私は、もうどんな秘密も作れなくなっていた事に。」

香坂は俺から視線を外さない。
俺も視線を外す事が出来なくなっていた。

「それでも、秘密を作らなければゲームは出来ない。
妻との約束を守らないという秘密はルール違反だ。
そうして、アレコレ悩んでいた所に、この病気です。
わざわざ作ろうとして作れなかった秘密を、
もうずーっと自分で抱えていただなんて、とんだお笑い種です。」

俺はある事に気が付いた。
香坂は、

泣いていた。



沈黙が訪れた。
店員はこの空気に気を使ってなのか、水をつぎ足しにも来ない。
隣ではカップルが仲良さそうにデザートを食べている。
ドリンクとセットで630円だ。
男のフォークを扱う音がやけに気になった。

そして、その沈黙を作った男が沈黙を破った。
かすれた声で。
俺にしか聞こえない声で。

「妻には、話さないでもらえませんか・・・。」

俺は振り上げた拳をもうどこに下ろして良いかも分からなくなっていた。


〓〓〓【前回まで】〓〓〓〓〓〓〓〓

『探偵という名の物語。』 (第一回)

『探偵という名の物語。』 (第ニ回)

『探偵という名の物語。』 (第三回)

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学


まぁ、そんなこともあらぁなと。
なんか江戸っ子口調でごまかします。
おはこんばんちわ。服部です。

さて、まぁ、近いうちに、探偵UPしますという事と、
携帯小説?ってのに載せようかなーなんてのと、
劇団から近いうちにいろんな発表があるのと、
まぁ、そんな業務連絡がありました。


最近は、人のお芝居見たりとかしてましたが、
色々考えていて、僕個人的にはですが、
やはり役者は脚本・演出を超えないといけないなぁと思うのです。
酷く難しい事ですが。

田村正和や、田中邦衛、渥美清の様な、
ものすごい個性の中に役が内包できる人にとっては、そうなりやすいのでしょうが、
僕は役者として、そうではないし、
そうではない人の方がやはり多いのであって、
だから、しっかりと考えなければいけない訳で。

もちろん、
演出的な方法でそうさせる事は出来るでしょうし、
役者の精進・技術でそうなる事は出来ると思うのですが、
そうはいっても、一朝一夕で出来るようなモノではなく、
演出の意図として、そこばかり話す訳にもいかず、
最終的に悩ましい形で終わる可能性があるのです。

まぁ、だから、劇団員ってのは良いのでしょうが。
準備時間が長いので。

何を話しても、どうリアクションをしても、
「生きている」
という事ですが、
それが、非常に難しいという事をしっかりと把握してもらいたいところ。
本当の意味で「生きる」という事。

そうしないと、舞台上が生きないかなぁなんて。
どこまでいっても、舞台は役者のモノだと思うし。
演出家のモノだなぁと思わされる舞台は
あまり好きではないし、そこで抗っている役者がいれば
途端に好意的に見てしまう僕です。

どうなったら役者のモノで、
どうなったら演出家のモノだなんて
分からないんですけどね・・・。
分かるまで続けるしかないので、まだまだやります。

しっかりと、そういう事も含めて、
自分の色んな技術が足りてねぇなぁと思うので、
精進あるのみです。

がんばろーっと。

テーマ:ひとりごとのようなもの - ジャンル:日記


そういえば。
遅くなりましたが、
ハイバネカナタより
年賀状が届きましたでしょうか?
今年一年のご健勝を祈ってお送りしました。

色々と
劇団としての話し合いを持ったり、
個人的に思考の底に沈んだりして、
お芝居のことに関わらず
様々なことを考えてますが、
最近はそれもひっくるめて
ビジュアル化してみてぇ~なぁ
なんて漠然と考えてます。

そういや、
子供の時には、
「どうして、手を動かそうと考えるだけで、動くのか」
とそんな事を
やたら考えてたりしました。
マジで頭ビックリな子供でした。
つっても、
今でも時々考えますが。

メカニズムの見えないモノについて、
やたら疑問に思うのは
昔からでした。

洗濯機のスイッチを押したら、
ふんどし姿の二人が出てきて、
よいせ~!
と言いながら回してるのかも
しれませんし、
パソコンの中には、
辞書を実際に引いてる人が、
何千人と居るのかもしれません。
そのうちの2、3人が
変な変換をしてると考えたら
可愛いものじゃないですか。
だから、
コカ・コーラのCMの様に、
自販機を押してから出てくるまでの
あの冒険は大好きなのです。
素敵なCMだなぁと。

たとえ、見えない世界でも
そこに見えない世界は
あるんだなぁなんて
考えたり考えなかったりしながら、
次の芝居を考えてます。

あ!
隣の人がさらに隣の人に
コーヒーをこぼされて
「あちっ!」
てなった!うわ、危ない!

皆様気を付けて下さいませ。


なんだか、制作業務的なことをしたりしてました。

演劇のポータルサイト、まぁ、要するに情報ページですけども、
Corichというページがございましてですね。
こちらなんですけども ⇒ Corich

とても素敵な情報サイトなので、
演劇、特に小劇場をチェックしたいぜこの野郎!
という方にはとっても便利。

で、Corich内に、劇団のページも持たせてもらってる訳ですが、
そこに舞台写真をまとめてUPいたしました。
コチラ ⇒ Corich内 ハイバネのページ

是非ともチェックしてくださいませ。
写真と共にセリフやト書き等も入れてあります。
いやー、しかし、懐かしいですね。
「ボーダー、オン、ボーダー」なんてもう1年半くらい前ですし。

劇団HPや、こういうポータルサイトにも情報を逐一載せていきたいと思います。
また、他の劇団さんの情報もありますので、
皆様も覗いてみてくださいませ。
うん!

テーマ:演劇 - ジャンル:サブカル


『誰でも死ななくちゃいけない。
でも私はいつも自分は例外だと信じていた。
なのに、なんてこった。』
                 -ウィリアム・サローヤンより


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なんてこった。

まずね、アメリカの劇作家、
しかも、サーロインみたいな名前の人が、
「なんてこった」なんて言う時点でもうやられた。

それにしても、
自分は例外だと思ってたのに、なんてこっただなんて、
ずいぶん高飛車な奴が、絶望してるなぁ。

なんだか、それはそれで面白いんだけど、
死ぬとなると、それくらいの絶望なんだろうかねぇ。

あら、珍しく、名言をちゃんと考察してる。
今年はこんな感じですか?

いえ!知りません!

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【用例:処方箋】
「僕はもうダメだよ、父さん」
「源三郎。」
「だって、もう父さんの顔もよく見えない。」
「目を開け!つむっていたら、そりゃ、見えない!」
「父さん、怖いよ。」
「源三郎。誰でも死ななくちゃいけない。
でも私はいつも自分は例外だと信じていた。
なのに、なんてこった。

「え?」
「・・・。」
「父さん?とうさーん!!」

ザ・ナンセンス

テーマ:演劇 - ジャンル:サブカル


目の前のリンカーン大統領は珈琲をかき混ぜていた。
一体何分前に入れた砂糖をかき混ぜているんだ、この男は。

香坂によれば、残り3、4ヶ月となり焦った妻が、
俺に秘密の調査を依頼。
香坂自身も妻が探偵のようなモノを雇うという、
その可能性を丁度考えていた所だった。
そして、香坂を尾行していたと思われる、俺を捕まえたとの事。
まぁ、尾行はしていないんだが・・・。

外では、車が走っている。
ビューンビューン。
しかも、その前には、ブルーシーターズが横になっている。
これから先の季節は寒くて仕方ないだろうに。
ダンボールと新聞とブルーシートがあれば、過ごせるものなのか。
それとも、ドラマのように、
ちょっとした犯罪をして、豚箱に入って、暖をとってるのだろうか。

「それで、どうですか?」
「は?」
「私の秘密です。見つけられました?」

どことなく不安げで、それでもどこか自信有りげだった。
秘密を見つけられる訳が無いという自信があるんだろう。
なんだか、腹が立ってきた。

「さて、どうですかね。」

俺の珈琲も冷めてきた。
コレおかわりしても、払ってもらえるのだろうか。
飲みながら香坂を見ると、
不安が増えてきたのか、焦っているように見える。

「そうですか、もう分かってるんですね。」
「え?あ、えぇ、まぁ。」
「確かに、探偵さんからしたら大したモノじゃないのかもしれない。
私の作った秘密なんて。」

まったく分からない。
女か、金か・・・。
突拍子も無いところで、「私は宇宙人です!」とか。ははは。

「妻にはもう話したんですか?私があと半年だって。」
「・・・あー、えぇ?」


〓〓〓【前回まで】〓〓〓〓〓〓〓〓

『探偵という名の物語。』 (第一回)

『探偵という名の物語。』 (第ニ回)

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おめでとうございます。
今年も皆様よろしくお願い致します。
今年は、なんとか、時間管理と、体調管理を上手くしたいという野望を持って、
元気にやっていきたいところ。

ハイバネも頑張っていく所存なので、
ご指導ご声援よろしくお願い致します!

やったーるぜーぃっ!

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